100冊の本に挑戦 塚本逭史「呂布 猛将伝」

昨年秋口から仕事が忙しくて本は時々合間に読んでいたが、日記までは時間が取れなかったので、久しぶりに書いた。

塚本逭史氏は歴史小説家で、私は今まで氏の作品では「光武帝」「孫子」「仲達」「三國志 曹操伝」などを読んだが、今回の「呂布 猛将伝」はあの三国志ではあまりに有名な無敵の武人その人の物語である。

吉川英治の「三国志」には、あの関羽張飛でさえも一目を置かざるをえない天下無双の武将として登場するので、私にとってもその印象が深く影響して豪傑で破天荒な呂布のイメージが強く残っているのだが、しかしこの本の中にはあの勇猛果敢な呂布は登場しない。

ここでは呂布は妻や娘らの家族のことを気にする一般家庭人としての父として、また苦悩する男として描かれていて、戦場に躍起する姿は殆ど無い。
冒頭からして変な感じの場面が設定されている。(読んでもらえればわかりますが) 
これを面白いと捉えるかどうかは各個人の見解であろうが私には?である。

全編を通じてこの家庭人としての呂布の姿が淡々と描かれていて、いまいち盛り上がりに欠けるといった感が拭えない。

今までの呂布に対する先入観がそう感じさせているのかもしれないが、私的にはなにか消化不良のまま最初から最後まで読んでしまった、といった読後感であった。