100冊の本に挑戦 陳舜臣「中国美人伝」

中国の四大美人とは一般的に 楊貴妃王昭君、西施、虞美人の四人と言われているが、この本の中にはこの内、王昭君と西施が含まれている。

西施は春秋時代の越の美女で、呉越戦争中和睦のために呉に嫁ぐが、あまりの美しさに呉王は政治に集中できず国を傾け越に滅ぼされてしまう。

王昭君は漢時代にこれも和睦のため匈奴に嫁ぐのであるが、もともと漢王室の宮中の女性の一人だったのが、宮廷の女性が多すぎてよく見もせず漢王が大した女ではないと思い込み決定した後実際の王昭君を見て大変悔しがったという美女であった。

他には漢時代の美女で詩の才能にあふれた卓文君、西晋時代の羊献容(ようけんよう)、唐時代の妓女で稀に見る詩人でもあり時の皇后と同性愛に落ちる薛涛(せっとう)、明時代の景徳鎮の磁器を紫禁城にたくさん残した萬貴妃(ばんきひ)、清時代の美女董妃(とうひ)が登場する。

彼女らのそれぞれの時には優しく優雅に、ある時は凄まじい生き様を陳舜臣氏は描いている。

初めて目にする名前もあるが、とても面白く最後まで一気に読める本だった。