100冊の本に挑戦 古田武彦「失われた九州王朝−天皇家以前の古代史−」

著者は日本思想史学者・古代史研究家で特に古代史では独自の古代史論を持っている。今回の本に書かれている九州王朝説も学会では有名らしい。

私等が小さい頃学校で習った日本の歴史が180度変わりそうな話が次々に出てくるが、それをきちんと検証しながら話が展開していくので私にはかなり説得力あるものに思えた。

古田説の主なものをあげると
1.邪馬台国ではなく邪馬壹国であり、首都は九州北部の今の太宰府、都督府である。
2.金印「漢倭奴国王」は、漢の直接統治の属国の王に与えられたもので、「漢」の「倭奴」の「国王」と読む。
3.日出ずる処の天子は聖徳太子ではない。
4.中国側の文献等に書かれていて中国が認めていた倭国とは、大和朝廷ではなく九州中心の国である。
5.天皇の称号を最初に用いたのは九州王朝であり、大和王朝の前に独自の年号を使っていた(九州年号)。
6.九州王朝は倭(ゐ)と呼ばれ、卑弥呼から白村江の戦いまで、延々と続いた。
等々である。

本自体結構厚くて読むのに一苦労するが、次々に展開される話にグイグイ引き込まれて、いつのまにか古田ワールドの虜になってしまった。

古代史は世界各地に残っている文献や言い伝え、考古学等から仮説を積み上げていくしかないが、この古田説も日本の古代史を考える上で重要な問題を投げかけていると思う。